ナスカ一級建築士事務所・桔川卓也氏インタビュー!

アウトセット引き戸金具 マジック2ご採用インタビュー

 

これまで数多くの教育施設の設計を手掛けている「ナスカ一級建築士事務所」。2021年竣工の「実践学園中学・高等学校 共学館」もそのひとつです。この物件にハーフェレが取り扱う、レールの見えない室内引き戸用アウトセット引き戸金具「マジック2」をご採用いただきました。

 

今回は実際に設計に携わった桔川卓也氏にどのような設計意図で「マジック2」をご採用いただいたのか、またその感想などを伺いました。

 

 

本日は 弊社ハーフェレのレールの見えない画期的なデザインの室内アウトセット引き戸金具マジック2をご採用いただきました「ナスカ一級建築事務所」にお伺いし、ご採用の理由やご感想などをお聞きしたいと思います。

 

――まずはこの「マジック2」という製品ですが、どちらでご覧になりましたか?

実は今回が初めてではなくて、2年前位に香川県にある保育所を作りまして、その時に今回と同様にレールの見えない建具を引き戸を作りたくて、色々な金物を探している中で、ハーフェレさんのマジック2はそういう特徴的な機構と見えないスリムなデザインが特徴ということは存じあげていたので、カタログを見ている中でこの商品なら我々が設計する意図に近しいアイテムであろうというところで発見させていただいたという経緯になります。

 

 

――実際、動き自体何か特徴的なことを感じられましたか?

わりとハーフェレさんのものを使うまでは、引き戸を扉の上の所に溝を掘っておいて、そこをガイドレールにして下を戸車にするという、上をガイドレールにするというディテールですね、ということで今までやってきたんですけれども、そうするとやはりこすったりするので、まずガタツキが多かった部分はデメリットとしてですね、少し悩んではいたんです。

そこに対して同じような見えがかり状のデザインで、ちゃんとしたレールがついているという商品で、建具としての強度や引きやすさみたいな所は今までやってきたものよりは向上している点で、良かったかなと思っています。

 

 

――ハーフェレジャパン自体はご存じでしたか?

また、今まで何かに使われたりということはあったのでしょうか?

一番最初に知ったのは、確か学生か何かの時にコンペティションやられていると思いますが、そこで会社名は初めて知りました。その時は学生なので何屋さんかもよくわかっていなくて、

ハーフェレという会社が建築家を審査員に入れてコンペをするっていうことぐらい、

失礼ながらそれくらいの情報だったんですけれども、実際社会人になって仕事をしていく中で、そこでもう一回触れたのが家具屋さんの家具の引き戸とか、そういうところにハーフェレの商品を使っていて、そこでああこういう機構の金物とかを作っている会社なんだ、というところで触れさせていただいて、カタログを手に取ってドイツの商品を使って、かなりスリムなデザインだなっていうところで、実施設計とかで触れるという機会になっていきましたね。

 

 

――ありがとうございます

何か我々にこう要望するとか、こんなものがあったらいいな、ということはありますか?

 

今回採用させてもらったものも扉に見えない扉っていうんですかね。壁のような、壁の一部に見えているような

デザインっていうことを追求して「マジック2」を採用させてもらいましたが、

あとは重量などに対しての幅の広さというのか、大きな建具なども使っていきたいなと我々は思っているので、それで今回と同じようなデザイン・機構で実現できるようなものがあると、もっと幅広く木建だけじゃなくてSDとか、そういうところにも活用できるんじゃないかなとは思っています。

 

――今どのような物件を手掛けていますか?

 

うちの場合は主に公共物件が多いですね。

プロポーザルで応募して数千㎡の市庁舎とか、道の駅とか劇場ホールなど色々な物件をやっております。その中で割と弊社としては建具のデザインについては、いつもかなり気を使っていますね。

 

――金具を選定するにあたり何を重要視されていますか?

デザインなのか?扉の仕様なのか?昔からのアイディアなのか?

 

割と開き戸とか引き戸とか、一般的なところを1回決めて、それを壁の要素に見せたいというのは、枠が無いを前提としてデザインやっている人は、要素を極力減らしたいという意味合いで、需要というかみんな気を使っているんじゃないかと思いますね。

一方でその開く機構みたいなものですかね、例えば中軸回転の扉とか、そういうところがなかなか技術的にできる会社が減っていっている部分はあって、我々がこういう開き方とか可動方法を思いついても、なかなか製品に結び付けてくれるようなメーカーさんや技術者がいないというのは実際困っている部分はあります。

 

――「マジック2」を今後も使っていただけるということですけれども、どんなところに入れるのが一番合うというか、これだったらもっと使えるんじゃないか、といったアイディアはありますか?

 

普通の引き戸と違う点は、壁みたいに見せられるという、本当にマジックそのものだと思いますが、壁的な要素として見せる建具というところでは、弊社の場合だと割とデザイン要素、デザイン方法としてやっていく方向なので、あらゆるところで活用できるんじゃないかなとは思いますね。

あとは アウトセットなので、例えば中が倉庫とか引いた時に内側で物が当たって開かなくなるといった理由で、アウトセットとかにすることが多いのですけれども、そうすると廊下側に枠とかレールが見えてしまって、台無しなるので、普通意匠的に優先で考えると

内側にハンガードアのボックスつけて、外から見ると普通のシンプルな枠が見えるっていう、それが機能的にもですね、外に出しつつもシンプルなデザインになるというのは、かなり需要があるんじゃないかなとは思います。

 

――(実践学園の)内覧会での反応はいかがでしたか?

 

みんな「どうやったの?」「何これ?」というので、僕からすれば「え?ハーフェレ知らないの?」みたいな(笑)。

 

――マジック2をご存じない人は多かったですか?

 

そうですね。引いてみてレールが見えない、見えにくいじゃないですか?

壁にこう寄ってもらって「ほらあそこにあるでしょ?」と。

それでやっとなるほど、と。内覧会も200人弱ぐらい来て、多くの方からこの建具は何かという質問を受けたので、もう(SNSで)一斉拡散発表みたいな形にしてしまったわけです(笑)。

 

――建具デザインへご要望が何かあればお聞かせください。

 

こういうことをしてみたいという意味でいけば、設計者が建具を採用する時に割と建具表っていうもので個数とか仕様を文字で書いて設計をしていくことが多いので、その建具のもちろんハーフェレさんをはじめとした金物屋さんとかを含めて、何か新しい建具のデザインとかあり方を設計者と共同開発するということはやってみたいなと思います。それが商品になってより多くの設計者が使っていただけるということを、今までだとメーカーさんが開発してそれが設計者が使うっていうやり方が、主だったことに対して設計者もそこに一緒に介入していって、1つの商品を作っていって何か建築社会において新しいあり方のさきがけになればいいかなというところに携わりたいなと思います。

 

取材協力:ナスカ一級建築士事務所